わくいふブログ

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第2回 わくいふ本屋企画

こんにちは。本屋企画のさいちゃんです。

2月も後半に差し掛かりました。寒い日がまだまだつづくようですが如何お過ごしでしょうか。
都内でも日陰にはまだ雪が融け切っていないところもあり、なかなかヒートテックが手放せません。

そんな寒いときだからこそお薦めしたい5冊を今月は紹介したいと思います。
テーマは「寒い日によみたいSF」。それぞれにとってのSF、寒いこの2月にどんな本を選んだのか、お楽しみいただければ幸いです。



①選書人:ゆい


クリスマスを目前にした京都での物語
そんなロマンチックさとは裏腹に
本書はむせ返るほどの男臭さから終始逃れられない

友人の狭い部屋で語り明かした後の二日酔いの気持ち悪さを思い出した
居心地よいとは認めたくないが
私もその場で生まれる旨味を
味わう部類の人間だ
学生生活女に一切縁がない
傷の舐め合いなどではない
むしろ私たちが正義
類は友を呼ぶことが誇りなのだ

文学的な言葉で語られる男の世界は
どこか高尚なものと錯覚する
しかし理性と信じる男のそれは
感情が爆発した凄まじい妄想


水尾さんはなぜ私を振ったのか


全てはここから始まる
この作品を面白い!と言ってくれる人と
私はコーヒーを飲みながら話したい
酒じゃない理由は本書にて



②選書人:たなちゃん


大切なものが多いほど失うのが怖い。わたしの周りにあるもの、そばにいてくれる人を失うことは考えたくない。
突然、それがすべて奪われるとわかったら世界はどうなるのだろう。
残された時間が少ないとわかった時、わたしは何を守り、何を捨てるのか。
1日が24時間では足りないとすら感じ、せわしなく過ごす日々の中で行われていることの、どれほどが本当にやることとして残るのだろう。
この本を読むといつも、暖かい部屋で大切な人と、ゆっくり語りたくなる。
すべて終わる日が来るとして、最後の日をどう過ごすかよりも、その日までに何をするか。その選択の方が大きな意味を持つのかもしれない。

あとどのぐらい生きられるつもりで生きてる?



③選書人:さいちゃん


完璧な共通言語などない。僕にしかわからない、あなたにしかわからない言葉や文法があり、同じ解釈をもつことは難しい。ただ、すっとんきょうな物語の節々から伝わることがあるのではないだろうか。あっけなく地球が消滅するとんでもない物語から、自分の文法に似たなにかを見つけられる。常識がぶっこわれる愉快なヒッチハイクを傍観していると、頭の奥が喜ぶような感覚に陥った。宇宙に蔓延る不条理を、傲慢で滑稽なヒト型の生物である僕たち地球人(アースマン)は笑えるだろうか?痛快なコメディの中毒になって、部屋の隅でクツクツ笑ってほしい。

「怠惰などうしようもない星だ。なんの痛痒も感じんね」



④選書人:しんちゃん


どんなに寒い冬の日でも、この本を読めば、心の温度が上がっていきます。
物語の季節が真夏だからか、かぞくのあたたかさが溢れているからか、一致団結して敵に向かって戦う姿を見るからか、主人公の恋を見守るからか…。いろんな部分で心がぽかぽかしたり、ドキドキしたり、アツくなったり、あっという間でした。
舞台がリアルなのにちょっと近未来的で、ありえなさそうだけどちょっとありえそうで、読んでいてわくわくしました。
かぞくを大切にしあうあたたかさや、勉強をすることや大切な人を守ろうとすることのかっこよさに、ありたい自分を思い出せる作品です。心の温度を上げたい方はぜひ!



⑤選書人:いくちゃん


ある人は誰かに必要とされたいと望み、ある人は誰かを痛めつけたいと嘲笑(わら)い、ある人は嘘をつき、ある人は欠けたものを探す。
果たして僕を僕たらしめる要素って一体なんだろう。
幼い頃の記憶、仕事で培った知識や技能、それともただ目の前にある現実(リアル)だろうか。

とても現実的で、あまりにも非現実的。起こることの大半が非常識。しかし常識なんて、所詮〝自分が知っている範囲〟の常識なのだ。
だから、先入観も固定観念も捨ててとにかく一度読んでほしい。
「ずっと君が来るのを待っていたんだ。ざっと」
「百年以上!」





以上が今月の5冊でした。どうでしょう。

僕たちが寒い日々のなかで選んだ本には、あたたかさもつめたさも入り混じっているように感じます。心の中がすうっと冷えていく感覚、その先で掴もうとしているあたたかな感情。思わず毛布に留まりたくなる冬、僕らの感情は人にみえないところで凄まじい回転をみせている。それをさらにかき乱すのも、優しく包むのも本であると僕は感じました。今回の選書と関係のない本の話になってしまいますが、2月になってからシリーズものの小説を読み始めました。それは16冊もつづくシリーズで、今11冊目に到達しています。いつのまにか、その本を開いて数行読み進めるだけで、万事許してくれる祖母や、故郷の町内放送のような懐かしくやさしいものを、その小説から感じとるようになってきました。外に出るのが億劫で、ふさぎ込んでしまっても、この本を開けば安心を得られる。僕にとってこの2月は、そんな大事な本をみつけられた冬でした。本を読んでこういう感情になることは稀で、正直自分でも動揺しているくらいです。

話を今月の選書に戻します。

今月僕が選んだ本にたいしては、さっき話したような読み方とはまた違う向き合い方をしています。故郷のような安心を得るためではなく、常識や自分自身を疑い、より新しい感覚を生み出す読書を楽しんでいたように感じます。あくまでも僕自身の感覚ですが、「留まる」読書と「刺激を得る」読書を、知らず知らずのうちにしているようです。そしてそれが混ざり合ったりする。本と本を行き来して僕が形成されていく。その中から僕自身の感情や言葉が生まれる。個人的にはそれが面白いと感じています。

本を読む人それぞれが、心地よく本と共存する懸け橋としてこの企画が在れたらいいなと思います。




さて。

次回、3月のテーマは「夜更かしして読みたい愛の本」です。
このテーマでそれぞれが選ぶ本、非常に興味深いです…。
乞うご期待!





こたえあわせ


①「太陽の塔森見登美彦
https://goo.gl/RWQGhZ
②「終末のフール」伊坂幸太郎
https://goo.gl/QFdf7k
③「銀河ヒッチハイク・ガイドダグラス・アダムス
https://goo.gl/3a69iL
④「サマーウォーズ岩井恭平(原作:細田守
https://goo.gl/MtRQK4
⑤オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎
https://goo.gl/WLpbXi