わくいふブログ

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第3回 わくいふ本屋さん企画

こんにちは!本屋企画のさいちゃんです。
3月の書評の公開がとても遅くなってしまいすみません。

今回のテーマ「夜更かしして読みたい愛の本」は、なかなか難しかった。
何日も何日も自分の部屋の本棚を眺め、唸り、眺め、悩み。僕は一番下の段にあった本を選びました。
一筋縄ではいかない「愛」というテーマをそれぞれがどう捉えたのか、お楽しみください。 

① 
ずっととか絶対とか
ためらいなく言えなくなってしまった
純粋な思いで永遠を手にすることが
どんどん他人事になっていくように感じる

互いの状況を知るにも時間差があったあの頃
互いに顔も知らぬまま恋に落ちていた
その日暮らしの先見えぬ生活から
仕事を変え人生を変えた
全ては一緒に過ごすため
そしてまた仕事へ向かう
絶対なんてないと君が悟ったように言っていたことを
俺はその意味を全くわかっていなかったんだ

今は互いに言葉を交わさずとも
互いを知ることができる
もどかしい時差はなくなった
シンプルでわかりやすい
ダサいことを嫌っていた君のダサい投稿が全てを教えてくれる

君が存在していない今の生活が現実ならば
過去こそが夢だったんじゃないかと思う
あの頃より好きな人に出会えるだろうか


② 
選びたい本がたくさんあって、もっとあたたかい本にしようかとも迷ったんですが、このテーマで今自分の中で一番しっくりきたのでこの本を選びました。

勢いがすごすぎてあっという間に一冊が終わり、次が楽しみすぎて途中で終われない。「好きなものは好き!」「したいことはしたい!」と言うことの清々しさと、ただただまっすぐに突っ走る行動力のたくましさが、読んでいる自分自身の背中も押してくれる本です!

―自分にとってオープンに、なりふり構わず追いかけたいものって何だろう?

それを自分で探しながら、見つかったときは改めて読んで、笑うだけでなく一緒に走ろうと思います。笑いと元気がほしい方にぜひ読んでもらえたらうれしいです。


③ 
あの日、燃え盛る炎を見ていた。

愛には様々なものがある。
家族愛、兄弟愛、友愛、情愛、異性愛、同性愛、無性愛、非性愛、偏愛、性愛。
その様々な愛が絡み合って社会を形成し、そして歴史が続いていく。
1人の青年の歪な性から生まれたのは、ただひたすらにまっすぐで、家族を愛する少年だった。

隅々に張り巡らされたヒント、少しずつ明らかになる真相、読むほどに愛おしくなる登場人物たち。
「罪にはさ、その理由や意味なんて関係ないんだ。『何をやったか』という結果だけで判断すべきなんだ」
真実を知ったとき、兄は、父は、あなたは、何を思うのか。
家族とは、血縁とはなんだ。




誰かのために、言葉や態度を選んでしまうことがある。

それって本当に誰かのためなのかな。
実は仕方なくそうしているだけかも。
もしくは優しい自分に酔っているだけ?

感情を後回しにし続けて、自分をどこかに置き忘れた事実にも気付けない。

そして、ふと「これはわたしの本音?」そう自分を問いただしたくなる。そこに疑問を持ち出すと、辛い。

どうすれば本音を吐けるのだろう。どこに行けば心から泣けるのか。感情を出す術が検討もつかない。

この悩みを解いてくれる場所はどこだろう。居場所が見つかったとして、自分の感情に気付いたその先には何がある?
他人を愛して、それでもなお自分を愛する方法は?

この本を読み終えてからが始まり。





『素直に言えば、恋をしたり信じあったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇です。』

あとがきでの筆者の言葉です。この本では、狂おしく脆い制御不能な慟哭が、溶けてしまいそうな細い文字の整然とした並びが、不揃いで不確かな僕らを際立たせている。でも、このままでいい。それぞれが感じる自然さで、だれかを愛せたらいい。笑子は嘘をつくことなんて何とも思っていないと言う。それでいい。だれもきみたちの愛を裁けない。こんなにも優しくて誠実なきみたちをどこかに仕分けようだなんて、ちゃんちゃらおかしい。僕らは心底わかり合えるほど同一の指標を持たない。それでもどうしようもなくひとを愛してしまう物語です。


以上、この五つが今月の書評でした。

編集後記の会も、いままでのようにワッ!と盛り上がる空気感ではなかったように感じます。愛とはそれほどまでに深く、重く、広く、やわらかいものだと、言葉を通じて知ったのでした。

ものすごく繊細な感情を言葉にするのは本当に体力をつかいます。僕は特定の人物に対して細かく何かを説明するのが得意ではないので、しばしば小説に頼っていますし、伝えることをやめてしまいます。でもこの企画ではそれは許されない。

ただ小説を差し出すだけではだめで、それを自分のことばで伝えなければならない。しかしその先に待つ世界は思った以上に興味深いものでした。言葉にできない感情のほうが多く存在していて、それでもこの企画に挑戦する変態性。それがこのメンバーの魅力なんだと思います。

ここでは今回の「愛」について深く言及するのを避けました。それぞれの書評から、それぞれの愛を感じ取っていただけると嬉しいです。


さて、次回四月のテーマは
「花と愉しむはかない本」です。

編集後記の会を間近に控えています。どんな本が選ばれるのか、ご期待ください!

 

 

 

 

 

 


こたえあわせ ( )内は選書人
①「ボクたちはみんな大人になれなかった」燃え殻 https://goo.gl/A7uTXy (ゆい)
②「将来的に死んでくれ」長門知大 https://goo.gl/PZ6ati (しんちゃん)
③「重力ピエロ」伊坂幸太郎 https://goo.gl/eecqzg (いくちゃん)
④「逢沢りく」ほしよりこ https://goo.gl/HZ92ht (たなちゃん)
⑤「きらきらひかる江國香織 https://goo.gl/tf8qRM (さいちゃん)